奏でるものは 〜功介〜


土曜日の朝から、焦る気持ちを落ち着かせながら用意をして、家を出た。

待ち合わせの駅に、10分前に着いた。

昨日の晩に連絡を取り合って観る映画も決めた。

どこ行くか困らないように、一応デートコースも考えた。

大丈夫か、俺。
ガンバレ、俺。

自分で自分を、励ました。



「ごめんなさい、待った?」


振り返るとユイカが白のフンワリしたブラウスに紺のフレアスカート、いや、キュロットか、どうでもいいけど、可愛すぎる格好で俺に近付いてきていた。



「いや、大丈夫」


家から少し離れた繁華街。
知ってるヤツには絶対会いたくない。



少し早い昼飯を食べて映画を観て、少し買い物をして、ブラブラ歩く。



海の近くの遊歩道に来た。



1日一緒にいて、ユイカはよく笑い、サバサバした性格で、でも、何か優雅な立ち振舞もする。


やっぱり、一緒にいたい。





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