奏でるものは 〜功介〜
生きてるから、貪欲に幸せを見つける、か。
「………1週間。その指輪を2つとも俺に預けてくれないか?」
「けじめをつけるってこと?」
「そう思ってくれていいから」
金曜日に歌織ちゃんの家に行くと約束して、指輪をもらった。
唯歌の指輪……
自分の指輪を指にはめて、首にかけていたチェーンに唯歌の指輪を通して、首に戻した。
「ありがとう」
首を振った歌織ちゃんが立ち上がった。
駐車場へ向かう歌織ちゃんと別れて、もう一度唯歌の墓前に来た。
「唯歌、一週間、一緒だよ」
しばらく墓石を見ていたが、またな、と思い切って背を向けた。