奏でるものは 〜功介〜


俺は、見合いをさせられては、断り、断られ、浮いた話には発展しなかった。


親の勧めの何度目かの見合いの席で、向かいにいたのは、大きくはないが、整った二重の目が印象的で高い鼻の小鼻が少しだけ丸く、薄く小さい口の口角を上げて微笑む女だった。


少し気が強そうな気もしたが、和服ではなく、淡いピンクで首元や半袖の袖がふんわりとデザインされたセットアップスーツを着ていたことも、興味をひいた。



午後からの見合い。
今まで俺が、やる気を見せなかったからか、顔合わせだけで両家の親は帰っていった。



出会って1時間ほどの相手と、デートを楽しむ気にならず、どうしようかと、部屋を見回してから、2人になったとたんの相手を見て驚いた。




さっきまでの微笑みはなく、面倒臭そうな表情に変わっていた。






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