奏でるものは 〜功介〜


色白で黒いストレートの髪がサラサラとしていた。

黒目がちで切れ長の目。

赤い唇はちょっと俺を警戒してたのか引き締まってたな、と思い出すと、フ、と笑った。



「何、ニヤけてんだよ」

昌の声に優も龍も俺を見た。

「ニヤけてねぇよ」

ちょっと焦った俺に気付いたのか、全員がニヤっと笑った。


「晩飯の買い出し頼んで来る」


後輩にお金を渡して部屋の隅に陣取っているテーブルに戻ると、優が立ち上がって荷物を持っていた。


「なんかいいことあった?功く〜ん?」


笑いながらツッコむ昌に、まぁな、と答えると


「何だよ、言えよ」


龍もゲームを手にしたまま聞いてくる。

「さぁね。あ、優は行くのか?」

「おう。機嫌いいなお前。
明日は学校に来いよ、じゃあな」


出て行った優を見送ると


「また、女、だろうな。毎日元気だよな、優のヤツ」


と昌が言ってそれぞれゲームやパソコン、スマホに戻っていった。





< 3 / 168 >

この作品をシェア

pagetop