奏でるものは 〜功介〜
二次会に行く父と離れて、母と車を待っていると、肩を叩かれて、お疲れ〜、と声がした方を向いた。


「おう、頼斗、お疲れ。

あ、今日はお疲れ様でした」

丁寧に頼斗の両親に頭を下げた。
後ろにいる人も頭を下げてくれる。
一族の人なのだろう。

「先程はありがとうございました、またよろしくお願いします」

母も頭を下げた。

「こちらこそ、今後ともよろしくお願いします」

華やかな一族が、頭を下げたのをみて、俺と頼斗も頭を深く下げた。


丁度、うちの車が来たので、乗り込んだ。


「サイタのA社B社の社長夫婦よ。覚えなさいね」


小声で言った母が、車のウインドウを開けて深々と頭を下げていると車が発進した。


そうは言っても、暗い場所で、ハッキリと顔が見えない。


「サイタのAB社って何?」

「サイタは商社でしょ。
ABは流通させるものに、違いがあるのよ。

会長の二人の息子がそれぞれの社長なのよ。これからあなたは切ってはいけない関係になる人たちよ」


サイタグループ、か。

優も、龍もやっぱり家族は来ていた。


社会に出るまでまだ時間はあるんだろう。

まだ、高校生の特権を持ってるからな。





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