戦月姫
光の記憶
ザクッ ザクッ
俺と菜月はゴールドタウンに向かっていた。
あのあと放心状態だった俺を菜月がグーパンで殴り、ある程度覚醒してから周りを見渡してみたが、どうやら全てのロボットが爆発したようだった。
今までロボットが自ら爆発なんて聞いたこともないし、それよりも気になるのは、ロボットが言っていた伝言についてだ。
『俺は、無事だ。ヒカルを守れ。政府が狙ってる。』
正直全く意味が分からない。
この伝言に出てくるヒカルは俺のことでいいのだろうか。思い当たる節は全くないのだが、少なくともあのロボットは俺のことを知っていた。
そして、キョウヘイに伝えろとも言っていた。
キョウヘイ、、、担任の小松の名前は京平だが、あの担任とロボットに何か関係があるのだろうか。
菜月「、、、」
さっきから菜月の視線を感じる。
光「どうした?」
菜月「ねえ、光、私の事覚えてない?」
菜月のこと??
入学式で初めて会ったはずなのだが、それ以前にーーーーっ!
光「そういえば俺、昔の記憶ないんだ。理由は分かんないけど。」
菜月「ーーーー!?やっぱりーーー光が、、、」
さっきから菜月が変だ。何か隠しているのだろうか?
光「どうかしたか?」
菜月「ううん、なんでもない。とりあえず、今日はケガせずに済んで良かったね!!ロボットが自爆することってあるんだね!!」
光「まあ、それは良かったんだけどな。あ、そうだ!菜月はあの伝言の意味分かるか?」
菜月「伝言??」
光「聞いてなかったのか?」
いや、そんなわけが無い。あんなに意味深な言葉、耳に止めないはずがない。
菜月「その伝言、ロボットが言ってたの??」
急に菜月が足を止めた。俺も自然と止まる。
光「え、言ってたけど、、、菜月、、、お前、、、寝てたのか??」
少しおどけて言ってみせたが、菜月はずっと俯いている。
菜月「なんて言ってたの?」
光「なんてって、、、『キョウヘイに伝えろ。俺は、無事だ。ヒカルを守れ。政府が狙ってる。』だったけど。菜月、意味わかるか?」
やはり菜月は俯いていて表情が全く分からない。でも、心なしか肩が上下している気がする。
泣いているのかーーーー?