副社長のいきなり求婚宣言!?
「君は以前、うちが身請けした工務店で働いていたらしいな。しかも、デザインから設計まで行うプロの建築士として。その若さで、大したものだ」


 どうやら、副社長様は最初からご存じだったようだ。私の経歴を。


「あの事務所から引き揚げてきたデザイン画や設計図は、一通り目を通させてもらった」


 あんなに小さな工務店の身請けにも、きちんと目を配る副社長の真摯な姿勢にあらためて感心する。

 副社長だからって、大きな椅子にふんぞり返っているだけではないことが、この会社を盛り立てている一因であることに間違いはなさそうだ。


「そのうちの何枚かに、“M.ayane”というサインが入っているのを見つけた」


 目を惹かれた、という副社長様のつぶやきに、鼓動が急き、身体は固まる。

 凛とした瞳は、視線を足元に這わせて、記憶を辿っているようだ。
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