副社長のいきなり求婚宣言!?
「だったらなんでうちに来た。生活のために働くなら全く違う職種の会社に行ってもよかっただろう」


 私のわがままで大学まで出させてもらった手前、田舎に帰るという選択肢は私にはなかった。

 こっちで転職活動しているとき、いろんな職種の求人を見たけれど、やっぱり目が行くのは実務経験を積んだ建築関係の仕事だった。

 ノウハウが身に付いているっていう理由でもあったけど……


「お前の夢があったからだろ? うちに」


 心の中を覗かれたような指摘に、頬がかっと熱くなった。

 図星だ。

 私は自分の夢を、動かない手の中に握りしめたままだったんだ。


「亜弥音まどか。

 君は今から、下半期コンペに出す画を描くんだ。もちろん、デザインから設計までの画を」

「え……?」


 唐突な命令に、胸元で握っていた小さな拳が震える。


「金賞を取るに越したことはないが、せめて入賞はさせてやる。もちろん俺の持ってる権限ではなく、君の実力でな。

 そして春の異動で、君をデザイン部門に引き上げる」
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