副社長のいきなり求婚宣言!?
「このまま、君の才能を捨て置くには、あまりにもったいなさすぎる」


 無理矢理合わせられた視線は、高い志と眩しいほどの夢に煌めく瞳に雁字搦めに囚われる。


「俺のために、描け」


 強い力ではないのに、顎を掬った長い指から逃れられない。


「亜弥音まどか、……俺と結婚することを前提にした住宅のデザインを、考えるんだ」


 心から滲み出てきそうだった感情は、凛とした真っ直ぐな瞳に吸い取られる。

 副社長様は、私の境遇を簡単に見抜いた。

 それだけ単純で不純で、本当に馬鹿馬鹿しいことだからだったからだろうか。

 でも、私を見つめる瞳に、憐れみや同情のような安い感情は一切感じられない。


「イメージが足りないなら、恋人役から始めてもいい」


 冗談でそんなことを言っているわけじゃないことくらい、私の影を映しているこの目を見ればわかる。

 才能と呼べるようなものを持っているのかどうかもわからない私の手が、必要なんだ、と全力で口説こうとしている。
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