副社長のいきなり求婚宣言!?
 それなのに、副社長様の超絶美麗なお顔は、心から満足したように破顔する。

 仕事の鬼と言われていた副社長様が、全てを許す菩薩様のような笑顔を自然と零すなんて、反則だ。

 けたたましい音で鼓動を打った心臓が、一瞬で、頭が痺れるほど熱い血を羞恥にたぎらせる。

 凍えて壊れそうだった心は、たちまちのうちに違う感情で大きく息を吹き返した。
 

「来週から業務終了後は副社長室に来い。俺が直々に指導してやる。

 総務部の低スペックPCなんて、才能ある建築士が使うような代物じゃないからな」


 ただし、と一呼吸置いた副社長様は、に、と口端を上げて顔を寄せてくる。


「社員の誰にもバレないようにしろよ? 副社長とデキてるなんて噂にでもなって、色目使って入賞したなんて言わせたくない」

 
 数センチの距離に近づき、超絶イケメンがイケボで耳を犯してくる。


「お前の才能は、本物だからな」
< 33 / 104 >

この作品をシェア

pagetop