副社長のいきなり求婚宣言!?
*


 翌朝、頭がぼうっとしたまま、出社する大勢の社員に紛れて、とぼとぼと社のロビーをエレベーターに向かって流されていく。

 上階への順番待ちをしているところで、ざっと道を開ける同僚達に倣い、エレベーター前に花道を作る。

 開いた扉から降りてきたのは、我が社の頭である社長。

 周りのみんなが「おはようございます」と事前打ち合わせでもしていたかのような挨拶をする。

 声こそ出さなかったものの、会釈をして直ったところで、社長の後ろから私の心臓を大きな大砲で打ち抜く人の顔が見えた。


 副社長……


 人波の隙間から遠く見える姿は、今日も超絶級にイケメンだ。

 朝のぼんやりとしていた思考も、副社長の見目麗しさにシャキッと目を覚ます。

 今日はお二人でどこかへお出かけになるのだろう。

 社長と並んで話しながらロビーを渡っていく副社長のそばに、秘書の美人室長様がついて行く。

 社長の秘書ではあるけれど、これからの打ち合わせのためなのか時おり言葉を交わしている二人は、誰の目から見てもお似合いの美男美女だ。
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