あなたと同居なんてありえません!
Ⅰ
私の幸せはどこに?
「わあ、朝から会うなんて。 おはよう、陽葵ちゃん」
あぁ、ぶっ飛ばしたいなぁ。
綾小路 陽葵(アヤノコウジ ヒマリ)、最っっ悪の朝を迎えました。
「陽葵ちゃーん、お顔怖いよ? 大丈夫?」
お綺麗な顔が私の顔を覗き込んできた。
程よい大きさの二重の目に、外国人ほどではないが高い鼻、発色のいい唇。
羨ましすぎて恨んでしまいそうなくらい、整った顔立ちをしている。
おまけに、背も185センチだと、どっかの誰かが噂していた。
顔も良くて、スタイルも良いってなんなんだろう。
こんなにいいルックスをもっている人が、なぜ、こいつなのか。
私はそこに不満を募らせていた。
この男は、七瀬 玲(ナナセ レイ)。 私と同い年の高校2年生だ。
私は、この七瀬 玲という男が、この世の中で1番嫌いな生き物だ。
学校ではイケメンだと騒がれ、入学式の日から1週間も経たぬうちに〝学校1のイケメン男子〟として学校中に名を広めた。
まぁ、それだけなら苦手意識だけですんだのだが、こいつには私が最も嫌う要素が含まれているのだ。
それは────
「んーっ、やっぱり、陽葵ちゃんって元がいいから朝イチの顔も可愛いね」
< 1 / 28 >