あなたと同居なんてありえません!


〝ド〟がつくほどの女たらしだからだ。



〝学校1のイケメン〟よりもあと、と言っても1ヶ月ほどくらいだろうか。


〝女の子をたぶらかす天才〟というのも学校に流れはじめた。


優しい言葉に言い換えてあるが、直訳すると女たらしとなるわけ。


私は、この世の中で女たらしが最も嫌い。


そして、女たらしなことを自分で認めるところも嫌いなところ。



女たらしじゃないと認めないのも、それはそれでむかついていたんだろうけど。





「うるさい。 洗面所使い終わったならどいて」





冷めた目で七瀬 玲を見ると、奴ははいはいとどいてくれた。



はぁ……。 なぜ、私はこんなやつと一緒に住んでいるのだろう。



これの始まりは、約1ヶ月ほど前に遡る────。









「今度、香澄(カスミ)さんと食事に行けることになったんだ。 ぜひ、陽葵にも来てほしいって」





夜ご飯を食べ終え、ソファに座りながらテレビを見ている時、洗い物をしていたお父さんに話しかけられた。



私にはお母さんがいない。 というのも、私が4、5歳の時に癌で亡くなったのだ。


そこからは、お父さんのお母さんが私の面倒をよく見てくれた。


家に帰ってきたら、おばあちゃんがいて、いつもなにかお菓子を用意してくれる。


夜ご飯もおばあちゃんが作ってくれて、お父さんが帰ってくるまで色んな話をするのが日常だった。
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