あたしたちの恋模様
「……帰ります」



ペコッと2人に頭を下げて、出口へと走る。



「あ！咲坂さん！」


「いいよ、放っとけば」



ふたりの対照的な言葉が聞こえる。
その言葉を振り切るようにあたしは走った。



「……っ」



あたし、ヒロの行動を制限してた？
……そんなこと考えたこともなかった。



「……もしもし」



学校から出たあたしは無意識のうちにスマホを出して、さっきかかってきていた番号へと電話をしていた。



『……心結』



電話の中から聞こえる声に胸がほわんと暖かくなる。



「悠貴、電話なんてしてきてどうしたの？」



無意識に電話していたものの、悠貴の声が耳に入って来た時点で〝しまった〟と気がついた。
でも、それと同時に話せてることが嬉しくて仕方なかった。



『このまえ、感じ悪かったかなって気になってさ』


「あれは仕事中だったし……」


『や、なんか冷たすぎただろ。ごめんな』



申し訳なさそうな、悠貴の声に嫌われていたわけじゃないんだとホッとする。

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