あたしたちの恋模様
「ヒロ、待ってって!」



また聞こえてきた声にさすがに後ろを振り向く。

幻聴だとは分かってても、だいすきな心結の声を無視することができなかった。



「……は?」



俺の目に見えてきたのは、少し離れているところから走ってくる姿。



「……心結?」



いや、幻聴の次は幻覚?

さすがの俺も、これは違うような気がすると目をこすって再び目をやる。

だんだんと近づいてくる姿はやっぱり、心結にしかみえなくて。



「え?」



俺も心結がいる方向へと走り出す。



「なんでだ?」



心結はたしかに悠貴の家に行ったはず。
あの後、郁人から連絡きてたし。

なんで、ここいるんだ?
まさか、だめだった?

傷ついてんじゃないかと、不安になって走る速度を加速させる。



「心結!」



近くなってきたところで立ち止まれば、向かい側から肩を揺らして、息を切らした心結が俺になだれ込んでくる。

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