ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~

(今……近かった……)

 そのことに気が付くと、どんどん頬が熱くなる。

 たぶん耳まで真っ赤だろう。

 とっさに自分を守るように、二の腕を抱えて抱きしめる。

 そんな葵を見て、蒼佑は自嘲するように笑い、唇を引き結んだ。

「――葵。八年前、君を傷つけたことがこれでチャラになるわけじゃない。それはわかっている。結局俺がふがいないせいで、こんなことになってるんだからな」

 蒼佑はそこでいったん息を吐き、新たに決意したように口を開く。

「でも俺は、今でもずっと君が好きだ。君に初めて会ったときからずっと、今日、今この時まで、ずっと、君が好きだ」

 蒼佑の低い声は、少しだけかすれていた。

 甘い告白というよりも、思いを告げる彼の声には、まるで嘆願のような切羽詰まった雰囲気があった。

「そんなの……」

 このままでは彼の思いに引きずられてしまいそうな恐怖があって、葵はとっさに首を振っていた。

「そんなこと言ったって、あなた、恋人がいたでしょう……?」

 仮に今はいなくとも、蒼佑が女性に放っておかれるはずがない。

< 100 / 318 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop