ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
複雑な気持ちになりながら、蒼佑を見あげる。
「――ん?」
葵のものいいたげな視線を受けて、グレーの瞳が、きらめきながら葵を見下ろす。
葵は一瞬、言おうかどうか迷ったが、勇気を振り絞って、軽く頭を下げた。
「私、再会してから、けっこうひどいことばかり言ってたし、態度も悪かったと思う。謝ります……ごめんなさい」
すると蒼佑は驚いたように目を見開いて、首を振る。
「いいんだ」
「でも……いや、本当によくなかったと思うから」
葵は唇を引き結んで、しっかりと蒼佑を見あげる。
自分を辛い目に合わせた男だから、傷つけてもいい。そういう気持ちが、確かに葵にはあったのだ。
すると蒼佑も少し考えるように目を伏せた後、
「俺も、悪かった。ずっと一方的で、強引だった」
とささやいて、葵の手を握った。
「追えば逃げられるとわかっていたのに、我慢できなくて、今君を見失ったら、二度と会えない気がして……」