ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~

「――」

 本気と言われて、葵は唇を引き結ぶ。

 確かに蒼佑は本気だ。いいも悪いもなく、ただ一途に、今でも自分を愛していると言う。側にいたいと懇願する。
 だから半ば葵は彼のその強烈な思いに根負けして――。
 昔の葵ではなく、今の葵と、一から関係を築くことを、選んだのだった。

 だがナツメには、葵が蒼佑を焦らしているように見えるのだろうか。

 ずっと長くそばにいた姉よりも、最近知り合ったばかりの蒼佑の肩を持つのは、同じ男だからだろうか。いや、純粋に、蒼佑を気に入っているのだろう。

 だから姉とうまくいってほしいと、純粋な気持ちで思っているに違いない。

 ナツメに自分と蒼佑の過去を話すつもりのない葵は、言葉を選びながら、口を開く。

「なっちゃん。あのね。私、適当にしてるわけじゃないの。そう見えるかもしれないけど……これでも真面目に考えてる」

 葵はじっと自分を見つめる、ナツメの目を見上げた。

「私、ずっと男の人と付き合うつもりもなかったし、これからもひとりでいいと、わりと本気で思ってるの」
「葵ちゃん……」

 それを聞いて、ナツメはどこか悲しそうな表情になった。

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