ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
東京に来て数年。姉に男の影がまったくないことに、気づいていないナツメではない。だから純粋に、素敵なパートナーを見つけてほしいと思う気持ちと、それは必要ないと言い切る姉の気持ちの距離を感じて、複雑な心境に陥っているのだろう。
そして葵も、ナツメの心配がまったく分からないわけではない。自分が今なにを考えているか、素直に伝えることにした。
「でもね……あの人が……天野さんは、確かになっちゃんの言うように、いつも本気で、私にぶつかってくるのはわかってる。だから彼には、時間をくださいって伝えてる。彼はそれを受け入れた。今は、そんな関係。私たちは、正式に恋人というわけではないの。だからお泊りはしない。いい?」
「――なるほど。わかった」
ナツメは葵の説明を聞いて、とりあえずもてあそんでいるわけではないということは、理解したようだった。
「でも、ちゃんと考えてはいるんだね?」
「そう、そうよ。考えてはいます」
ただ、なにも自分からアクションを起こす気はないということは、わざわざ口には出さなかったのだが。