ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~

 長いまつ毛の奥の、グレーの瞳がキラキラと輝いて美しい。
 その視線を受けて、葵はなんとか唇を震わせながら、口を開いた。

「見ないで……あなたの視界に、入りたくない」
「っ……」
「触らないで……吐き気がする……」

 そこまで言われて、ようやく自分のしていることが分かったらしい。

「すまない……」

 蒼佑がこわごわと、体を離す。
 その瞬間、支えを失ってしまった葵は、エレベーターの床にヨロヨロと座り込んでしまった。

「あっ……」

 蒼佑が慌てたように、葵の前にしゃがみ込んだ。彼の上等なスーツの膝が汚れるのを見て、葵は不思議な気持ちになった。
 きっと葵の給料の何倍もするスーツだろう。

(どうして元婚約者に、こんなことをするんだろう……)

 一方的に切り捨てたのは蒼佑なのに。

「すまない、俺は――」

 しかも胸元からハンカチを取り出して、差し出してくる。

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