ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
「これはなんだか気分がいいな」
と、ふざけたことを言いながら、車椅子を押しているのに、鼻歌でも歌いそうなくらいご機嫌である。いつもはまったく思い通りにならない葵に対して、自分の意志を通すことが出来ることが、嬉しいようにも見えた。
(なんなの、もう……!)
腹が立つが、この状況で声を上げるのも、大人げない。目立つのも嫌だ。仕方なく口をつぐむ。
それからタクシーに乗って向かったのは、閑静な高級住宅地にある日本邸宅だった。
「ここはどこなの?」
「ひいおじい様のお妾さんが住んでた別宅。俺が学生の頃に譲り受けて、たまに使ってたんだ」
「ひいおじい様の……」
葵はびっくりしながら、辺りを見回した。
いったい敷地面積はどのくらいあるのだろう。左右には長い塀が広がり、歴史を感じさせる大きな門構えと、何メートルもある松の木や、美しく刈り込まれ整えられた生垣が、とても美しい。
「俺が今住んでるマンションでもいいかと思ったんだけど、あそこは殺風景だから、葵がつまらないかと思って」