ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
「そうかな。あやしいわ……」
葵は明らかに不審に思う表情を隠さず、そう口にする。
「介護とか言って、お風呂に一緒に入ってきそう」
それはあくまでも冗談のつもりだったのだが。
蒼佑はそれを聞いて、軽く目を見開いて、「そうか、その手があったのか」と、感嘆したようにうなずいた。
「あ……」
なにか自分は言ってはいけないことを口にしたのではないか。後悔したが、後の祭りだ。
「さっそく今日から実践しよう」
蒼佑が恐ろしいことを言い出して、葵は慌ててしまった。
「きょ、今日から!?」
「だって、立ってもいられないくらいなんだから、当然髪も洗えないだろ? 俺が洗ってあげる。体も……すみからすみまで、きれいしてあげよう」
色気たっぷりに、蒼佑が瞳を輝かせる。
その瞬間、当然のように、葵の脳裏には、当然裸で蒼佑に体を洗われる自分が鮮やかに浮かび――。
「やっ、やだ! 変態っ! ばかっ、エッチ!」
耳まで真っ赤になった葵は叫んで、頭の下に敷いてあったクッションを取り出し、蒼佑に投げつけていた。