ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~

 布張りの大きなクッションは、ぼふっと蒼佑の顔に直撃する。
 不意打ちなうえに、相当な勢いがあったので、クッションだとしても、相当に痛かっただろう。

「っ……」

 蒼佑は軽く呻いて、顔を大きな手で覆ってしまった。

「――え?」

 それまで沸騰したてのヤカンのように怒り狂っていた葵から、一瞬で血の気が引いた。

 蒼佑はピクリとも動かない。

「え、うそ、大丈夫!?」

 体の痛みを忘れて飛び起きた葵は、うつむいた蒼佑の肩に飛びついて、顔を覗き込む。

「――目が開かない」

 蒼佑が低い声で、うめくように口を開く。

 それを聞いて、葵はショックで震えあがってしまった。

「目に当たったの!? どうしようっ、ごめんなさいっ! びょ、病院に! あっ、救急車!」

 そして焦りながら、叫んだのだが――。

「ふっ……ふふっ……」

 なぜか蒼佑は、肩を揺らして笑っていた。

「――え?」
「ごめん、本当はなんともない」

 蒼佑はにっこりと笑って、笑顔で顔を上げた。
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