ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
(――なんだか、不思議な感じ)
葵は椅子の背もたれに両手を乗せ、もたれながら蒼佑の背中を見つめる。
昨晩、葵は心の中で蒼佑への思いを認めたのだが――。
蒼佑は昨日と今日で、葵の内心に大きな変化があったことなど、気が付いていないだろう。
認めたからと言って、口に出さなければ、現実は何も変わらないのだ。
アツアツのフライパンに、ベーコンが乗せられる。
ジューッと美味しそうな音がし始めた。
「なにか手伝おうか?」
さすがにただ座って見ているだけなのも、落ち着かないので、そう言ってみたのだが、蒼佑はあっさりとそれを客観した。
「いや、いいよ。危ないし」
「危ないって……」
葵は苦笑して立ち上がると、食器棚のほうへと向かう。
「食器くらいなら、出せると思うんだけど」
「ああーっ、いいって。食器が落ちてきたらどうするんだ」
慌てたように蒼佑が近づいてきて、葵の背後に回り、お皿やスープカップを取り出す。