ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~

 八年前、祖父の引退で葵の生活は大きく変わった。そして人生観も、その時に変えられてしまったのだろう。今となっては、かつて葵が当然のように受け入れていた、なんでもお手伝いさんがしてくれるような、生活をしたいとも思わない。
 贅沢もいらない。そもそも、日々の生活の中で、欲しいものなどあまりない。ただ毎日、心穏やかに生きていけたら、それでいいのだ。今さら箱入り娘のような扱いを受けるのは、ただ居心地が悪いだけだった。

「葵……」

 葵の言葉を神妙な様子で聞いていた蒼佑は、持っていた皿やカップを背後のテーブルに置くと、改めて葵に向き合った。

「君が側にいると思うと、嬉しくて……なんでも俺がしてあげたいっていう気持ちが抑えられなかった。それだけだ」

 そして蒼佑は、葵の髪をひと房手に取り、指に絡ませる。

「君を、子ども扱いなんかしてない。君は俺にとって、ただひとりの美しい女性だ。だからそこは勘違いしないで欲しい」
「そ……そう」

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