ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~

「冗談じゃない。本気なんだ」

 至極まじめに、蒼佑は答える。

「――」

 葵はまた無言で、目の前の元婚約者を見つめる。いや、とっさに掛ける言葉がみつからなかったのだ。

 ほんの数秒、葵は『こんなに不愉快な夢からは、早く醒めたい』と思ったくらいに、なにもかもがちぐはぐで、思い通りにならない理不尽な空気に満ちていた。

 その沈黙を、彼がどうとったのかはわからない。

「葵、俺は――」

 蒼佑は緊張した様子で、それでも言葉を紡ごうと口を開いたのだが。

「ふっ……ふざけないでよ……!」

 葵はそれを遮っていた。

 自分でもびっくりするくらい、大きな声が出た。そんな自分に驚いたが、それどころではない。
 葵はワナワナと震えながら、蒼佑に詰め寄る。

「あなた、私を捨てたじゃない! 別れの言葉ひとつくれないまま、逃げたじゃない!」
「それはっ……」

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