ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
「卑怯者よ。あなたは卑怯者です。私よりずっと大人だったはずなのに、私を見捨てて、逃げた……なのにやり直したいって……恥ずかしくないの!?」
そして葵は持っていたバッグを振りかぶり、そのまま蒼佑の胸を殴りつけていた。
通勤バッグは革製で、それなりに重さがある。当然、ドスッと音がした。だが蒼佑は逃げることもせず、それを受け止めている。
「――恥ずかしいよ。そりゃ、恥ずかしくないわけない」
どこか自嘲するように蒼佑はうなずく。
「だったら……!」
「それでも!」
突如、蒼佑は葵のバッグを持ったまま、葵を身体全体で押すようにして、壁際に追い詰める。
「なっ……」
慌てた葵は、必死にバッグを取り返そうとひっぱったが、ビクともしなかった。
結局、長身でたくましい蒼佑に壁に押し付けられる格好になって、葵は息を飲む。
三十センチ以上高い所に、蒼佑の顔がある。
過去、好きでたまらなかった彼のグレーの瞳がキラキラと輝いていて、濡れたようにも、潤んでいるように見える。