ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~

「あ、葵。お風呂はこっちだから。露天風呂がデッキにあって……」

 蒼佑は葵の手を引いたまま、窓の方へと向かっていく。
 その慣れた様子に、思わず葵は素で、問いかけていた。

「詳しいのね。誰と来たの?」

 そう口にした瞬間、失敗したと思った。

「え?」

 蒼佑が驚いたように目を見開く。それも当然だ。今の葵の発言は、やきもちを焼いているように聞こえる。
 蒼佑が女性とここに来たからなんだと言うのだ。彼にだって自由に過ごす権利はあるし、そもそも過去のことにどうこう言っても仕方ない。慌てて首を振った。

「えっと、そうじゃなくて……」
「――この旅館は、山邑リゾートの系列店でね。社長を知っているから、ひとりでも泊めてもらえるんだ。それから何度か、ひとりでぼんやり骨休めしにきたことがある。それだけだよ」
「あっ……そ……そうなの……」

 山邑リゾートは世界中にホテルや旅館を展開している、日本有数のリゾート運営会社だ。社長がずいぶん若い男前で、葵も何度かテレビで見たことがある。

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