ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~


(現実問題、どうしたらいいのかな……)

 縁側で、葵の膝枕で眠る蒼佑を見下ろしながら、そうっと息を吐いた。

「――ん……葵……?」

 ため息が聞こえたのだろうか。うとうとしていた蒼佑が目を開けて、上半身を起こすと、途中まで読んで胸の上に置いていた文庫本が、滑り落ちた。

「あ……」

 蒼佑は本を手に取って、それから葵の顔を見つめる。

「俺、寝てた?」
「うん。十分くらいだけど」
「そうか」

 蒼佑はふっと笑って、それから葵の唇に、軽くキスをする。

「うたたねなんて、久しぶりだな」
「そうなの?」

 葵は目を丸くする。
 七時間以上はいつも寝ているくせに、朝に弱い葵は、職場でも気が付けば、休憩室の隅っこでうとうとすることがあるのだ。

「ああ。アメリカにいたころは、基本的に睡眠時間が短かったし」

 そして蒼佑は、思いだしたように真顔になった。

「まぁ、たまに気絶するみたいに寝てたけど……」
「えっ、危なすぎない?」
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