ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
葵は驚きながら、蒼佑の肩を抱いて引き寄せた。
「私調べでは、睡眠時間が短い人は、長生きしないのよ」
「じゃあ葵は長生きだ」
蒼佑はなぜかニコニコしている。
どうやら葵が長生きするのが嬉しいらしい。葵の背中を抱き締めて、ホッとしたように息を漏らした。
「まぁ、そうかもしれないけど……。蒼佑さんもちゃんと気を付けないと。今はまだ若いからなんとかなってるだけで、後からガクッと来るかもしれないし」
「そうだな。葵より先に死ぬわけにはいかない」
「それは意外ね」
「そう?」
「あなたのことだから、自分が死ぬ最後の瞬間を、私に看取ってほしいとかいうような気がして」
ついさっきまで、ふたりの将来のことを思って、少し気分が沈んでいたが、それはそれ、これはこれだ。葵の言葉を聞いて、蒼佑は軽く微笑んだ。
「それも選択肢のひとつではあるけれど、やっぱり君を置いて先に行くのは、不安だな」
「えっ、それって私が頼りないってこと?」
「そうじゃない。君がほかの男に誘惑されたら困るから、先に死ねない」