ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
そして迎えた出勤一日目は、周囲に体調を気遣ってもらったおかげで、とりあえず問題なく終わりそうだった。休憩時間には渉も顔を見に来てくれたので、一緒に社員食堂でコーヒーを飲んで少し話をすることにした。
「あの、その、津田さんにはとてもお世話になったので、お話しておこうと思って」
「ふぅん、よかったじゃない」
葵が蒼佑との話をかいつまんで話すと、渉はホッとしたように笑顔になる。そして終始、しどろもどろになっている葵の顔を覗き込んで、つんと額を指で押した。
「そんなうつむいて、申し訳なさそうに話すことじゃないでしょ。もっとはしゃぎなさいよ。相変わらず感情表現が下手くそね」
「……へたくそ」
まさかそんなことを言われるとは思わなかったが、渉のいうことはもっともだ。その自覚もある。つんと押された額に手をやり、葵は溜息をついた。
「そうかもしれないですね……。基本的に私、幸せに対して、ちょっと臆病になってるところがあって」
もしかしたらすぐにこの幸せは、手からすりぬけてしまうのではないかと、思ってしまうのだ。