ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~

「そう……わかりました」

 しかたなくうなずいたが、葵は蒼佑の気づかいに、ありがとうなどという気持ちは、湧いてこなかった。そのくらい当然だと思うと同時に、相変わらず気の回る男だということを思い、嫌な気分になる。

 かつて葵が蒼佑を心から信頼しているときは、彼のその気遣いにいつも感激していたものだった。

(いやなこと思いだしたわ……)

【その代わり、俺が君に近づくことを許してほしい】
「――はっ?」
【君には嫌われてる。それはわかっている。だが、俺も諦めきれない……どうしても……どうやっても、君を諦めることが出来ないんだ】
「――」

 葵はその言葉を白々しく聞いたけれど、ここで嫌だと言っても仕方ない。
 ナツメにさえバレなければ、どうということはないのだ。

「勝手にどうぞ」

 感じ悪く聞こえたらいいと、葵はことさら冷たく答えたのだが、

【そっ、そうか、よかった……嬉しいよ、ありがとう……】

 電話の向こうからは、驚きに満ちた歓喜の声が返ってきて、なぜか葵の心は、ズシリと重くなった。

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