ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
ナツメはふふっと笑って、ふたりで向かい合ってダイニングテーブルに座る。
「いただきまーす」
「いただきます……」
だがなかなかパンに手が伸びない。
「葵ちゃん、接客業なんだからちゃんと食べないと。元気でないよ」
「うん……」
ナツメのいうことはわかるが、どうしてもぼーっとしてしまう。
「もーっ、ほら、ジャム塗ってあげるから食べなさいっ」
ナツメはいそいそと葵のパンにイチゴジャムを塗り、インスタントのコーヒーを淹れる。
「ありがとう、ごめんなさい……お世話になります」
そんなことをふにゃふにゃ口にしながら、葵はパンを口に運んだ。
ジャムは普通の市販品だが、食パンは、近所のベーカリーで米よりもパンが好きなナツメが買ってくるものだ。さくっとした食感と香ばしい小麦の香りが口の中に広がって、モグモグと咀嚼していると、のほほんとした気持ちになった。
「おいしいね」
ナツメの言葉に、葵は、「うん」とうなずく。