ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~

 間島は興奮したように言葉を続ける。

「三十そこそこなのに、ロロ・ピアーナのスーツ、さらっと着こなしてるの。たぶん直営店で型紙からおあつらえになってるわ、でもそれを手軽に楽しんでいる雰囲気がプンプンなのよっ! 本物のおぼっちゃまよ! そんな人がどうして今さら、なんのつきあいもない、うちのサロンに来るの!? しかも葵ちゃん指名って……どういうこと!?」
「――私を、指名」

 さっきも同じことを言っていたが、その意味が分からなくて、ほんの数秒、葵は呆然とした。

 だが、遅れてようやく気が付いた。
 自分を指名して、ロロ・ピアーナを着こなす男など、ひとりしかいないではないか。

(嘘でしょ……職場に来る!?)

 バッグを持ったまま固まっている葵に、間島は詰め寄り、肩をつかんだ。

「ごめん、今日、残業してくれる?」
「あの……」
「呼んできますって言っちゃったから、だめ? 忙しい、予定ある?」
「いえ、その……」

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