ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
東京では友人知人が少ない葵に、予定など早々うまることはない。
「よかったっ、じゃあよろしく頼むわね!」
間島はホッとしたように笑顔になり、くるりときびすを返し、また売り場へと飛び出して行った。
「ああ~……私の馬鹿」
近づいていいかと言われて、好きにしろと答えたのは自分ではないか。
「ほんと、もうっ……」
しかも職場なら、蒼佑を無視することなど出来るはずがない。
本当に、うかつだった。
葵はギリギリまで、このまま帰ることはできないかなどと考えてしまったが、そんなことをしては、間島に迷惑をかけてしまう。仕事だって続けられないだろう。
なにより、蒼佑のせいで、職場を辞めるなど言語道断だ。
「もうっ……」
葵は何度も重いため息を吐き、それから両手で頬をパンと叩く。
こうなったら仕事に徹するしかない。
葵は気合を入れた後、バッグをロッカーに仕舞って、また売り場へと戻っていった。