ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~

「お車までお見送りします」

 葵の言葉は従業員として当然の発言だったのだが、それを聞いて、蒼佑は少し嬉しそうな顔になる。

「本当に?」
「はい」

 何十万円もする服地を買ってもらって、見送らないわけがない。

 蒼佑だってそんなことはわかっているはずだ。
 それでも嬉しいのだろうか。

(私は、仕事だからやってるだけよ)

 そう心の中でつぶやいて、葵は蒼佑と一緒にサロンを出て、エレベーターへと向かった。だが、やってきたエレベーターは混んでいたので、ひとつ見送る。次に来たエレベーターに乗り込むと、なぜかふたりきりだった。
 駐車場は地下だ。ボタンを押すとスムーズに降下していく。

「――葵、この後は?」
「帰ります」
「俺のせいで遅くなったんだろう? 家まで送らせてほしい」
「結構です」

 葵はただひたすら、エレベーターの階のライトを見詰めている。

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