ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
ピンと背筋を伸ばして、手はおへその下で組み、どこからどう見ても、仕事モードに徹していた。
「――」
気まずいのだろうか。蒼佑は一瞬黙り込んだが、葵の横に立ち、顔を覗き込んできた。
「葵、俺は……」
「待って」
葵は首を横に振って、エレベーターの『開』のボタンを押した。
地下駐車場に着いたのだ。
エレベーターから少し離れたところに、蒼佑が運転してきたという、黒いスポーツカーが停めてあった。運良く、周囲を柱に囲まれて、死角になっている。ここなら他のお客様に見られることもないだろう。
葵は車の側に立ち、葵の言葉を待っている蒼佑を見あげた。
「私がここで働いていること、もしかしてナツメに聞いたの?」
「ああ。一緒に住んでいる姉が、南天百貨店の紳士服売り場で働いていると……」
「やっぱり……」
葵は軽くため息をついた。