ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~

「――じゃあ帰りますね」
「うん、お疲れさま。助かったよ、ありがとう」

 社員に挨拶をし、手早く着替えた葵は、事務所内に声をかけて社員用のエレベーターに乗り込む。

 とりあえず今日は、渉と今後の打ち合わせのために食事をすることになっている。

 社員通用門の手前には喫煙所と併設して休憩室があるので、先に仕事が終わった渉が、待っているはずだった。
 休憩室には壁に沿ってソファーがずらりと並べてある。渉のように誰かを待っている人も、ちらほらといるようだ。

 そっと休憩室のドアを開け中を覗き込むと、

「こっちこっち」

 一番奥で、黒スキニーに、ロング丈Tシャツ、その上にスモーキーカラーのプルオーバーを羽織った渉が、立ち上がって手を振った。
 モード系ファッションがすらりとした彼にはよく似合っている。

「お待たせしました」

 一方自分は、スキニーデニムにてろんとしたカットソーという、おしゃれには若干遠いファッションだ。

(なんだか隣を歩くのが申し訳ないかも……)

 そんなことを思いながら、ペコッと頭を下げる。

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