ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~

「――今日、ナツメくんはいいのか」

 黙って話を聞いていた葵に、蒼佑が尋ねる。
 子供ではないが、未成年の弟が家で待っている状況が気になるのかもしれない。

「ええ……友達の家に泊りに行くって」

 それで今日、少々遅くなっても大丈夫だろうと、渉と話をする予定だったのだ。

(まさかこんなことになるなんてね……)

 葵はぼんやりとそんなことを考えて居たのだが、

「彼女じゃないの?」

 そこで頬杖をついた渉が、さらっと爆弾を放り込んできて、葵は目を丸くした。

「――えっ?」
「高校生男子でしょ。しかも……すっごく可愛いし。きれいだし。いるんじゃないかしら?」

 ちなみに渉は、葵の弟が人気モデルのNASTUであることを知っている。葵が自分から話したのではない。

 ある日、仕事帰りの化粧品カウンターでタッチアップをしてもらっていたら、ふと渉が思いついたように「最近インスタでチェックしてる、かわいい男の子にそっくりだわ。骨格からして、血縁者じゃないの?」と冗談交じりに口にしたのだ。
 その場でスマホを見せてもらったら、なんとそれがナツメのインスタアカウントで、驚いたという事実がある。

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