ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~

 葵はエレベーターボタンの横の壁に体を持たれて、そのままずるずると床に腰を下ろそうとしたのだが。

「待って、この上に座って」

 蒼佑が手早く上着を脱ぎ、床に広げたのを見て、仰天した。

「そっ、それ、ええっ……」

 蒼佑が身に着けているスーツは、当然相当な高級品で、間違いなく床に置いていいものではないし、お尻の下に敷くなんて、言語道断だ。

「だ、だめだよ、そんな……」
「いいから」

 蒼佑はあっさりと首を振り、そして葵の腕をつかみ、少し強引に上着の上に腰を下ろさせる。

「ば……罰が当たっちゃう……」
「当たらない」

 そして蒼佑は、葵を和ませるためか、わざといたずらっぽい顔をして、

「なんなら俺が床に寝転がろうか。君はその上に座ってもいい」

 と、少し色っぽく微笑んだ。

「なっ、なにを言ってるのっ!」

 一瞬、本当にその場面を想像してしまった。

 とてつもなく倒錯的だ。

 葵は顔を赤くして、そのまま勢いで座り込む。

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