ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
葵は戸惑いながら首をかしげる。
「言い訳なんか聞きたくないという葵の言葉は、確かにそうだと思う。だが、このままでは八年前からずっと、君の心は今でも傷ついたままだ。違う?」
心が傷ついたまま――。
蒼佑の言葉に、さらに葵の胸のざわつきは止まらなくなった。
「どういう意味……?」
「そのままの意味だ。俺のことを許さなくてもいい。だが君の傷は癒されるべきだ」
蒼佑はそう言って、軽くため息をつき、立てた膝の上で組んだ手をギュッと握る。
そして唇を引き結んだ葵をちらりと見て、肯定と取ったのだろう。
ゆっくりと、身長に口を開く。
「八年前……。俺の両親と君のおじい様の間で話し合いがあり、婚約が破棄されたのは事実だ。両親は少し迷っていたみたいだけれど、おじい様が引退されると聞いて、仕方ないと受け入れた。それもまぁ当然だろう。だが俺は納得しなかったし、とうてい受け入れられなかった。なにか方法はないのかと両親に詰め寄ったが、もう決まったことだとしか言われなかった。悔しかったよ」
「――」
その言葉に、葵は静かに衝撃を受けていた。
蒼佑は婚約破棄を受け入れたものだと思いこんでいたのに、本当は違ったと言うのだろうか。