ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
「――え?」
「だからお前は葵さんのことを思って、顔を見せるなと言われた。顔を見れば彼女の決意が無駄になるからと……」
そう言って、蒼佑は自嘲するように笑う。
「本当に、俺は君以上に箱入りのお坊ちゃんだったよ。婚約破棄を受け入れるなら、どうして君はひとりで来たんだ。ご両親と一緒じゃないんだ。おかしいだろう。なのに俺は、まさか両親がそんな嘘をつくとは思わなくて、それを受け入れた……。いや、それだけじゃない。君に、本当は好かれていなかったんだと確認するのが怖くて、逃げたんだ……」
そして蒼佑は、祈るように背中を曲げ、膝の上のこぶしの上に額を押し付ける。
「俺は天野家の跡取りとして、表面上だけ取り繕って、綺麗な優等生に見せていただけで、卑怯者で、臆病者だった。そしてたったひとりで、勇気を出して俺に会いに来てくれた君を傷つけたことにも気づかず、日本にいることすら辛くて、海外に逃げたんだ」
彼の握りしめた手は、指が、強く握り込みすぎて白くなっていた。
じっと見れば、かすかに震えている。
手だけではない。