ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
その声も、絞り出すような低い声は、いつも堂々と落ち着いた彼らしくなく、震えていて、彼から溢れる後悔の念がヒシヒシと伝わってくる気がした。
「アメリカに行って、数年、がむしゃらに働いて、極力葵のことを考えないようにしていた。実際、かなり忙しくて。日本に帰るのは、年に一度、あるかないか……。たまに帰国しても、友人の家を渡り歩くかホテル暮らしで、実家には戻らなかった」
「――それは、どうして?」
葵もかすれた声で問いかける。
すると蒼佑はふっと顔を上げ、唇を震わせる。
「実家には君との思い出がありすぎるだろう……」
そして彼は、隣の葵にようやくその眼差しを向ける。
「初めてキスをしたのは、応接室のピアノの前……君が十七歳の冬だった。覚えてる?」
蒼佑の問いかけに、どきんと心臓が跳ねる。
まさか忘れるはずがない。
かすかにうなずくと、蒼佑がホッとしたように唇をほころばせた。
「一緒に並んでピアノを弾いて……。俺がふざけて肩をぶつけて、君の演奏の邪魔をした。そうしたら君は頬を膨らませて怒って……その顔が可愛くて……ああ、好きだなって……我慢できなくなって……」