お茶にしましょうか



「お、おい、お前、萩原さんに心配されてるぞ」

「何?嫉妬?」

「ち、違う!」



毒舌の彼は江波くんをからかった後、満足気に私を見ました。



「そりゃ、嫌でも疲れるよね。二人の仲睦まじいところ、見せつけられたら」

「あら、私ったら、申し訳ありません……気が利かずに……」



私は、思わず顔が熱くなりました。



「だいたい……お前は、何でついてきたんだよ」

「江波?お前が俺との約束、忘れてたのをまさか、忘れてないよね」



私の顔は相変わらず、赤いままでした。

しかし、江波くんはみるみるうちに、真っ青になってゆきます。

私は、毒舌の彼が江波くんに向けて発した「約束」「忘れていた」という単語たちを少し気になってもおりました。

そのから、私はきな粉棒の「赤い当たり」を生まれてはじめて経験し、もう一本いただき、駄菓子屋を後にしたのです。
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