お茶にしましょうか
近所の駄菓子屋さんを出たあと、3人で一度、江波くんのお宅に向かいました。
そして、江波くんの運転する自動車に乗り、ある場所を目指していたのです。
そのある場所とは先程、歩いていた時に話題となり、私が迷わず同意をした場所なのです。
「あのさ、江波。前から聞こうと思ってたんだけどさ」
「何だ」
「この車、何色なの?」
「ば……バイオレット」
「江波ってさ、ときどき面白いよね。なんでさ、この色にしようと思ったの?教えてよ。ちょっと江波、聞いてる?」
「うるさい……」
私は、後部座席から江波くんに話しかける毒舌の彼と一緒になって、思わず笑ってしまいました。
運転しながら、口を微かに尖らせる仕草の江波くんも、なんと様になることでしょう。
そのような彼を横から眺めているだけで、私の口元は無意識に緩んでしまうのです。