お茶にしましょうか



近所の駄菓子屋さんを出たあと、3人で一度、江波くんのお宅に向かいました。

そして、江波くんの運転する自動車に乗り、ある場所を目指していたのです。

そのある場所とは先程、歩いていた時に話題となり、私が迷わず同意をした場所なのです。



「あのさ、江波。前から聞こうと思ってたんだけどさ」

「何だ」

「この車、何色なの?」

「ば……バイオレット」

「江波ってさ、ときどき面白いよね。なんでさ、この色にしようと思ったの?教えてよ。ちょっと江波、聞いてる?」

「うるさい……」



私は、後部座席から江波くんに話しかける毒舌の彼と一緒になって、思わず笑ってしまいました。

運転しながら、口を微かに尖らせる仕草の江波くんも、なんと様になることでしょう。

そのような彼を横から眺めているだけで、私の口元は無意識に緩んでしまうのです。



< 147 / 160 >

この作品をシェア

pagetop