お茶にしましょうか
「……萩原さん?どうかしましたか?」



不意に江波くんが、私に話しかけてくださったので、驚きました。

江波くんは運転の最中であったので、前だけを見ていたものだと、てっきり私は思い込んでいたのです。

それでも、江波くんも私に気にかけてくださっていたのだと思うと、嬉しく思いました。

そして、冷房がきく車内で、少しずつ私の頬が温くなってゆきます。



「……あ!」



私は思わず、声を発してしまいました。

なぜなら、車の車窓に目的地が広がっていたからです。

それは、青く広がっていました。

私の胸は、ますます踊り始めています。
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