お茶にしましょうか



「ちょっ、やめろよ……!この後、誰の車に乗って帰ると思って……!」

「え?誰の?」

「………………俺の、です。」



冷静に攻められる江波くんを見て、私は少し気の毒に思いました。

しかし、今ばかりはこの時間を、優先させたくなったのです。

何か言いたげに毒舌の彼を睨む、江波くんに私はこう言いました。



「少しくらいなら、帰りまでには乾きますよ。せっかくなので、楽しみましょう?」



すると、江波くんは複雑な表情を浮かべました。



「帰りの車内が、磯臭くなっても…いいんですか……?」

「私は構いません!」

「俺も平気」

「俺が平気じゃないんだよ……」



頭を抱える江波くんに、私ははじめて彼に、迷惑をかけていたことに気がついたのです。
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