お茶にしましょうか
「お前はさっきから……いい加減にしろ!」
「家帰ったら車の中、掃除して消臭しときなって」
「お前は頼むから、手伝ってくれよ……!」
この時、私が一番驚いていたのは、江波くんがこれほど素早く動き、人並みに大きなお声を出せるということでした。
高校時代の野球部のお仲間や私の前でも、照れ屋な江波くんからは、想像もつきません。
しかし、彼は、もともとスポーツをされていた方ですから、当然のことではあるのでしょうが。
楽しそうなお二人の様子をしばらく眺めて、私はこのままでは取り残されてしまう、と確信いたしました。
そう思い、私は江波くんに側方から、水をかけたのです。
それに気づいた江波くんは、一度、動きを止め、そして、躊躇ってらっしゃいました。
その間にも、毒舌の彼からの水を食らい続けている江波くんに、笑いが込み上げてしまいました。