完璧秘書の可愛い弱点
それから私は社長の事など気にせずに仕事を続けた

でも...正直、きつい

社長室に居てもビシバシと社長から視線を感じる

何かいいたげなのは分かってる

記憶の事でしょう?

それに、秘書と社長という立場では一緒に居る時間が多過ぎる

最近では社長の顔を見る度、記憶を...取り戻したい、なんて

馬鹿げてる、絶対

「...瑠羽!話聞いてる?」

『え、ええ、ごめん、何かしら?』

「もう、最近ずっとぼーっとしてるけどどうしたの?」

『え、あ...大丈夫、何でもないわ』

「ふーん...なんかあったら、頼ってよね」

『...ええ、ありがとう』

ごめん、こればっかりは私の問題

そう、私は自分が財閥の令嬢だということを話してない

...目の前に居る、親友にさえ

話したら、ここで秘書として働いてる意味がなくなる

私にとって"今"は、最後の足掻き

一般人として、生きてみたいという願望

もう少しで、私が藤堂を背負うことになる

だから...その前に、って親に頭を下げた

これが...私が私である、最後の時

下手にばれて、全てを壊したくないの

ごめん、ごめんね...
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