最後の恋愛 番外編 ☆もうひとつのストーリー☆
少し前を歩く大麦の後をぴたりとくっついて

会社の門を出た。

大麦は手を繋ぎたがったけど

無理

ここは会社

まだ仕事場

プライベートゾーンじゃないし

ほんと無理

けど

これで安心するなら・・

そう思って

スーツの上着の裾をちょっとだけつまんだ。

「大和!」

幸せほのぼの空気を切り裂く懐かしい声に

ハッとして顔を上げた。

あー

そう

そうだった。

この似合わない口髭

思い出してしまう。

思い出したくないのに。

あの雨の日の最後の夜。

ごめん

の一言で置いていかれた冷たさを・・

私は、大麦を見上げて言った。

「・・行こ。」

大麦は、「ああ」と微笑んでうなづいた。
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